遺された妻のブログ、書き込み続ける娘との日々

有限会社 山村塗装店

2009年06月14日 15:42

朝日新聞web版

タイトル「遺された妻のブログ、書き込み続ける娘との日々」

http://www.asahi.com/

手のひらの上で豆腐を切る安武はなちゃんと見守る父信吾さん=福岡市、溝脇正撮影


安武千恵さん



以下記事全文

小さな手のひらで豆腐が揺れる。柄がピンクの包丁を、そっと下ろした。

 小学1年生の安武はなちゃん(6)は福岡市のマンション12階の台所で、みそ汁をつくっている。踏み台の上から父信吾さん(45)に聞いた。「なべに入れていいと?」。1年4カ月前の5歳の誕生日に始めた朝の日課だ。

 母千恵さんから教わった。「みそをこした後のかすも入れてね」「野菜は根も食べると体が強くなるよ」。食材を丸ごと使う技も母譲りだ。

 母は08年7月11日、33歳で生涯を終えた。その78日前、幼い一人娘への文章をブログにつづった。

 〈心の準備はしている。ムスメには、できることは何でも自分でさせようと思っています。一人でも強くたくましく生きていけるように。〉

    ■

 千恵さんは福岡教育大大学院で声楽を学んでいた。コンサートの後援を頼みに訪ねた西日本新聞の支局で、記者の信吾さんと出会った。千恵さん23歳、信吾さん34歳だった。

 北九州市で小学校の教員をしていた25歳の夏、乳がんで左乳房を切除した。抗がん剤の副作用で抜けた髪が伸びた翌01年夏、信吾さんと結ばれた。

 03年2月、女の子を授かった。誰からも愛されてほしくて、「はな」と名づけた。

 なぜか右のおっぱいを娘が吸わなくなり、病院に行った。肺に2センチ弱のがんが見つかった。一度は消えたが、骨と肝臓にも転移していた。

    ■

 信吾さんにパソコンを買ってもらった。06年冬、ブログ「早寝早起き玄米生活」を始めた。治療しながら食事や生活に気を使う日々をつづった。

 〈ムスメは、お風呂で私の傷口をさわりながら言った。「ママ~、おっぱい、ちょきんって切られたの? おっぱい、買ってあげるね」〉

 迷ったけれど産んでよかったと思った。
〈ムスメは、病を得た私を癒(いや)すために、この世に来てくれた。〉

 患者やその家族に訴えた。

 〈生き方を変え、考えを変え、運命を変えていく。それしか病気を克服する手段はない。〉

 病状は安定し、07年秋には舞台で歌う機会に恵まれた。だが、肝臓のがんは肥大していく。08年6月、はなちゃんに「ママ、目が黄緑色だよ」と言われた。肝機能が低下して黄疸(おうだん)が出た体に、もう抗がん剤は使えなかった。

 親子3人の最後の会話は、すぐに終わった。

 「誰だかわかるか」

 「信吾さん……はなちゃん」

 7月12日、信吾さんは6月13日で止まった妻のブログを更新した。

 〈11日、安らかに眠りました。〉

    ■

 千恵さんのブログへのアクセスは千件を超える日もあった。信吾さんはそこに日常を書き込むようになった。妻は社会とつながり、力をもらっていたと知った。娘が心の支えだ。「千恵がはなで、はなが千恵。あの子がおらんと生きていけない」

 はなちゃんは母の言葉を忘れない。「最後に話したとき、『人の悪口を言ったらダメ。やさしい女の子になってね』って」。教わった洗濯物のたたみ方は上手になった。ピアノの練習も約束したから毎日続けている。「ママみたいに歌う人になりたいの」

 そして、今朝も小さな手で朝ご飯をつくる。(金子元希)

〈ムスメは、病を得た私を癒(いや)すために、この世に来てくれた。〉

 患者やその家族に訴えた。

 〈生き方を変え、考えを変え、運命を変えていく。それしか病気を克服する手段はない。〉

 病状は安定し、07年秋には舞台で歌う機会に恵まれた。だが、肝臓のがんは肥大していく。08年6月、はなちゃんに「ママ、目が黄緑色だよ」と言われた。肝機能が低下して黄疸(おうだん)が出た体に、もう抗がん剤は使えなかった。

 親子3人の最後の会話は、すぐに終わった。

 「誰だかわかるか」

 「信吾さん……はなちゃん」

 7月12日、信吾さんは6月13日で止まった妻のブログを更新した。

 〈11日、安らかに眠りました。〉

    ■

 千恵さんのブログへのアクセスは千件を超える日もあった。信吾さんはそこに日常を書き込むようになった。妻は社会とつながり、力をもらっていたと知った。娘が心の支えだ。「千恵がはなで、はなが千恵。あの子がおらんと生きていけない」

 はなちゃんは母の言葉を忘れない。「最後に話したとき、『人の悪口を言ったらダメ。やさしい女の子になってね』って」。教わった洗濯物のたたみ方は上手になった。ピアノの練習も約束したから毎日続けている。「ママみたいに歌う人になりたいの」

 そして、今朝も小さな手で朝ご飯をつくる。(金子元希)









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